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大学生のまひる(真昼の深夜) が日常的に考えていることや悩んでいることを、映画や本、音楽などからヒントを得ながら”現在地”として残してゆく不定期連載『よどむ現在地 』。第6回は、いろんなポップカルチャーに触れるようになってから考えるようになった人種について、ドラマ『マスター・オブ・ゼロ』(かなり未熟な視点を含みながら)自分なりに言葉にしています。本稿を書き終えてから勉強になるPodcastをたくさん聞いて、今ならこんな言葉遣いはしないだろうなと思うので、文章末尾に添えている参考資料も併せてご覧ください。

「日本は平和だから好きだけど、平和すぎていろんなことを忘れてしまう」といったようなことを Superorganism のオロノが言っていた。

https://open.spotify.com/episode/4WJdAm2QD8HLOj2EwFmvhh

BLMだなんだと考える前に自分が考えるべきことがあるのではないか。(もちろん、向き合うべき問題だし、外に目を向けるからこそうちのことがわかると言うことはしばしばある。)

このところ、見る作品にこれでもかというほど関連してくるのがジェンダーやBLMだ。  ジェンダーに関しては自分ごととして考えやすい。いや、むしろ、自分ごととして考え過ぎて、自分は生まれながらにして加害者で悪なのではないかとさえ思うこともある。一方で、BLMについては自分ごととして考えるのはなかなか難しい。日本に住んでいると他人種の方と関わることは少ないので、BLMの熱量と深刻さと課題の重さを肌身に感じることは少ない。 BLMは対岸の火か?と問うていた頃に、自分の人種について考え直すきっかけとなる作品を見た。

ドラマ「マスター・オブ・ゼロ」だ。

シーズン1、2の日本語字幕版の予告が見つかりませんでした...

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インド系(2世)の主人公デフと、その友人として黒人でレズビアンの女性、台湾系アメリカ人の男性などが登場し、白人社会で生活するマイノリティならではのエピソードが繰り広げられるコメディ。ハイセンスなコメディドラマなので、設定やセリフだけ見ると耳を塞ぎたくなるテーマを驚くほどコミカルに描いている。印象的なシーンやフレーズはたくさんあるものの、ここで挙げるとするならばこれに限る。

「マッチングアプリで、アジア人男性は黒人女性の次に人気がない」(正確な言い回しは忘れてしまいました。)

文字で見ると、少々面食らってしまうほど生々しいセリフなのだが、あくまでコミカルなのがこのドラマのすごいところ。主人公は2世と言えど、インドにルーツを持っていることから、アジア系、黒人としての数多の不条理に直面する。上記のフレーズもその一つだ。

ここで、冒頭のオロノの言葉に戻る。

「日本は平和だから好きだけど、平和すぎていろんなことを忘れてしまう」

BLMのように人種に関して自分ごととして捉えられない自分はまさに、日本ではマジョリティにあたる人種に属しているから、人種問題に関しては”平和すぎ”たのかもしれない。 しかし、日本という国を一歩出ると自分は自分ではなく日本人。いや日本人というよりアジア系。なんならChineseやKoreanと言われる方が多いかもしれない。冷たい視線を向けられ、COVID-19をアジアンウイルスと呼ばれ、道を歩けば「チンク」と罵られる。そして、次の一節を思い出す。